2022年に開館70周年を迎える東京国立近代美術館は、2022年6月7日(火)から同年10月2日(日)まで、ドイツ出身の芸術家ゲルハルト・リヒターの作品を展示します。「ゲルハルト・リヒター展」の目的は、来館者に彼がこれまで発表してきた初期から最新作までの作品を鑑賞し、リヒターの世界観とじっくり対峙してもらうこと。油彩・デジタルプリント・ガラスなど様々な素材を用いながら、活動開始時より一貫している画業を振り返ります。

日本初公開のリヒターの重要作品『ビルケナウ』

本展覧会ではリヒターが60年におよぶ芸術活動で生み出してきた作品のうち、約110点を厳選して展示します。2014年に発表した『ビルケナウ』は、日本初公開。黒・白・赤の3色を主に使用して描いたこの作品は一見抽象絵画のように見えますが、ところどころ何かの骨組みや建造物などの描写が覗きます。アウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所で囚人がこっそり撮影した写真を、画面内に描き写しているのです。

リヒターは今まで何度かホロコーストをテーマにした作品の制作を試みましたが、適切な表現が見つからず断念してきました。『ビルケナウ』はリヒターが長年の想いを達成し、新たなステップへ進む転換点として重要な意味を持つ作品でもあります。

リヒターの多彩な芸術作品を展示

リヒターの芸術作品は写真を画面内に再現する「フォト・ペインティング」のほか、正方形のカラフルなチップを用いた「カラー・チャート」やグレイのみで描く「グレイペインティング」など多岐にわたります。隣の作品へ目を向けたり、次の展示室へ足を踏み入れたりするだけで先ほどとは異なる世界が広がっているのが本展覧会の見どころ。60年間のリヒターの画業を余すことなく鑑賞できる、今シーズンおすすめの展覧会です。

展覧会概要

会期:2022年6月7日(火)~2022年10月2日(日)

会場:東京国立近代美術館

   〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1

開館時間:10:00~17:00(金・土曜は10:00~20:00)※入館は閉館30分前まで

休館日:月曜日、7月19日(火)、9月20日(火)※7月18日、9月19日は開館

入館料:一般2,200円、大学生1,200円、高校生700円

    中学生以下・障害者手帳を提示された方とその付添者(1名)無料

公式サイト:https://richter.exhibit.jp/