誠実さをアピールする学生は、純粋で真面目なんだなと感心させられる。自身の体験をこと細かくレポートして自分の「誠実さ」をアピールする。
面接などで直接面談していれば、雰囲気から本質をつかみ取ることができようが、体験レポート的エントリーシートだけではつかみきれない。もったいない話である。
採用する立場から言えば、誠実だからという理由だけでは採用できない。生涯賃金は2億数千万円といわれている。気の遠くなるような高額を学生に投資するのである。採用した後、気に入らないからといって解雇するわけにもいかない。採るときは定年まで働いてもらうことを前提に内定をだしている。どんなに誠実な学生でも投資に見合うだけの付加価値が求められるわけである。
無意識な言動なんてあり得ない。気持ちの上で何らかの意志が働いて、結果として真面目な言動が取られているはずだ。その意志をはっきり示すことで、誠実さの裏づけを相手に納得させられる。まさにこれが誠実さの付加価値になるのだ。
無遅刻をアピールするのでも、「今まで一度として遅れたことがありません」では、感心されてもそれ以上の何ものでもなく相手の心に突き刺さらない。
無遅刻を維持し続けるために、日常生活で必死の努力がなされたはずである。不測の事態を防ぐために余裕をもって出かけるのはもちろんのこと、しっかり時間管理ができていたからこそ、達成できた快挙であろう。そこのところをしっかりアピールして初めて「この学生だと安心して仕事を任せられる」に繋がるものだ。
次ページ⇒ 思いやりについて
黒住皓彦 著書
就職活動本【就活は自分を売り込む商談だ】
ダイヤモンド社
書店・大学生協にてご注文ください。
または大学図書館・市町村の図書館等でお借りください。